SICK&TIRED
秋の日はつるべ落とし…だったっけ??
確かに秋は日が落ちるのがめちゃくちゃ早い
あっというまにもう真っ暗で、月が雲に隠れたり、また現れたりしている
強風で雲が早く流れるから、気分が急いた
まことは何も言わない
怒っている様子でもない
到着したのは、一人暮らしするには豪華すぎる彼のマンション
何度か来たことがある
彼の友達や、女友達が幾度となくここに泊まったことがあるのも知っている
「家?」
「ああ、一番誰にも邪魔されない」
どうしよう……
と戸惑っているうちにまことは車を降りてしまって、アタシも降りざるを得なかった
オートロックをあけて入っていく後姿についていく
静かなエレベーター内にアタシの緊張が増していった
相変わらずまことは何も言わなくて、余計にどうすればいいのかわからない
玄関の鍵をあけると、先に入るように促された
うつむいたまま中に入って、靴を脱ぐ
彼の香水の匂いがしみついた部屋
その匂いに全身が染まる気がしてなんだかいやだった
鍵をしめたまことがトロトロしているアタシの脇をくぐってリビングへと向かう
「はじめてくるわけでもないのに、何そんな緊張してるわけ?」
そういわれて、アタシもリビングへと向かう
黒の家具に統一された室内は、圧倒的な存在感と威圧感でアタシはつぶされそうになる
メインの明かりも間接照明でほの暗いから余計に不安に飲まれそう