SICK&TIRED



「……帰る」



この人は、きっと最初からまともにアタシの話を聞くつもりなんてないんだ



「帰すわけないだろ?」


「……帰して」


「どうすればお前の体からアイツの感触が消えると思う?」


「やだ」

アタシは両腕で自分の体をぎゅっと抱きしめた



「今日は久々に泊まっていけば?」



アタシが何度も首を振ると、今までとは打って変わったように、優しく腰に腕を絡ませて抱き寄せられた



「やだ……とうま…」



思わず口から出た名前にまことはアタシの腕を引っ掴むと荒々しく立ち上がって、寝室へと続くドアを開けた


「挑発するね」


いつにない優しい声色に、アタシをつかむ手の力はすごく強くて、心底ここに来たことを後悔しても


もう遅い








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