SICK&TIRED
家の前でまことはアタシを車から降ろすと、さっさと車を発進させて去って行った
昨日と同じ服で学校に行くのはいやだから……
と言ってここまで送ってもらったけど
正直、学校って気分じゃない
鍵をあけて、自分の家の匂いを感じると安堵が押し寄せて強烈な眠気に襲われる
自分の部屋にも行かずそのまま浴室へと入る
熱いお湯が浴槽にたまるまで
ほとんど顔には残っていないメイクを洗面台で流し落とした
前かがみになったアタシを鏡が映し出す
シャツの隙間から見えるキスマーク
洗っても消えない
その時細くドアがひらいてあみが顔を出した
「さきちゃん、昨日はどうしたの?
帰ってこないなら連絡してよ」
「ごめん……」
鏡越しにあみと目を合わせた
「あみ」「さきちゃん」
二人の声が重なる
きっと考えたことは一緒
「昨日ね、何回かとうまから電話があった」
先に切り出したのはあみ
「さきちゃんが帰ってるか確認の電話」