SICK&TIRED
意識をこちらに戻した彼女の目は太陽の光を溜め込んだかのようにキラキラしていて、なのにどこか何も見ていないようにも見えて、口元に少し浮かべた笑みも寂しげに見えた
オフホワイトのカーディガンのボタンをすべてとめて、膝丈のスカートをふわふわと揺らせて立ち上がると、小花模様がところどころあしらわれたベージュのスプリングブーツを履いているのが見えた
「へえ、とうまああゆうのが好み?」
「は?」
「お前モテるから、もっと派手な女もよりどりみどりなんじゃねーの?」
「別にモテないし」
「ま、今にも飛んでいきそうなくらい儚げでほっとけないタイプだな、よく見ると意外と素朴でかわいいし」
「よく見なくてもかわいいだろ、あれは」
「俺はもっとグラマーなお姉さまが好きだから」
さきをはじめてみたのはその時だった
かわいかったり美人だったり、自分の好みの女を見るっていうのは男の本能で、その時は別にどうとも思わなかったけど、なんだかインプットされたのは確実だった
学部が違うと建物が違うから、それから会うこともなくてすっかり忘れていたけれど