SICK&TIRED



一般的な恋人たちがするように、映画を見たり、プールに行ったり、花火をしたり…大学1回生の夏を謳歌するがごとく


熱くて焦げそうな気温の日


ビーチで水着ギャル達を見るのも悪くないという下心ありであみと海に行った時だった


借り物のビーチパラソルの下で想像以上の人の多さにげんなりしつつ、あみとくだらない話で笑っていると人の波をよけるように海に不釣合いなくらい生ッ白い女が歩いているのが見えた

ストローでジュースを飲みながら近寄ってくる女の顔を見たことがあると認識したのと、横に座るあみが「さきちゃん!」とその女に話しかけたのはほぼ同時だった


なんで女子高生のコイツと知り合いなんだ??


思わずじろじろと相手を見てしまう


こちらの視線に気づいてかキョロキョロと視線を動かしているのが小動物みたいで、(あちゃー、こりゃかわいいわ)なんてますます凝視する羽目になる


一言二言交わすと、少し急いでいるようなそぶりを見せてあっという間に立ち去ってしまう


そんな後ろ姿も存分に眺めていると、一度だけこちらを振り返った

彼女の何かを確認するかのようなチラ見が、俺と目が合って慌ててそらされて、思わずニヤけてしまった表情を押し隠すのが大変だった


「あみ、知り合い?」

「さきちゃん?」

「そう、さきちゃん」

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