SICK&TIRED


そんな俺と彼女の図書館での逢瀬がある日発覚した

待ち合わせたわけじゃなかったけれど、周りから見たら待ち合わせているととられてもおかしくない状況

図書館の前でもめているかのようなさきちゃんと堀内まことの姿を見かけて耐え切れず声をかけた

助け舟をだしたつもりが、反対に挑発されてそれに乗ってしまう大失態

彼女が男に肩を抱かれて連れて行かれるのを指をくわえてみていることしかできなくて

ものすごく近づいたと思っていた距離も

アイツに比べたら何の影響力もない程度で

俺はさきちゃんの彼氏じゃないという現実を目の前に突きつけられた


俺と一緒の時間をすごすことが彼女の心の安らぎになっているかもなんてうぬぼれていた




『他の男と立ち話しただけで暴力をふるうってうわさ』




春樹の言葉がよみがえって、二人が消えた先をみつめる俺の全身に冷や汗が流れるのがわかった


もしかしたら俺が原因で暴力を受けるかも


そう考えると、まともに家に帰る気がしなかった

居ても立ってもいられず、さきちゃんの家の最寄り駅で待ち伏せる


もし男と一緒に帰ってきたら「妹と待ち合わせ」って言えばいい

そんな言い訳まで用意して……




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