SICK&TIRED
軽快な足音が聞こえてきて、背後からのぞくように「よっ!」と声をかけられる
「で、どうだった??控え室にいた??」
聞きたくて仕方ないって感じだけど、声をひそめてきく春樹
情報通でもさすがに密室の中でのことまではわかんないんだな
いや、知られてたら困るけど
思い出しただけで体が熱くなる
俺の家に連れて帰ろ……
「加賀見とうまってどっち?」
突然現れた男四人がすれ違いざまにそう言って、立ち止まった
それと相対するように俺と春樹が横を向いて足を止める
何を悟ったのか春樹が小さく「なるほど」と呟いたのが聞こえた
情報通は、ただ情報をききつける耳がいいだけじゃなくって、状況把握の素早さと勘の良さも持ち合わせているらしい
「なんすか?」
相手の様子をうかがうように声を出した
「話あるんだけど」
「さきのこと」
「あいつに男がいるの知ってるだろ?」
順番に違う奴が話して、めんどくさいことこの上ない
っつか、なんで本人がこないんだ??
けど、その名前を出されて否とは言えなかった
やっと、やっと、待ち合わせをして会えることになったのに…………