0センチの恋〜みんなの王子様〜【短編】
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次々に名前を呼ばれていく卒業生達。
あたしは、その様子をボーと見ていた。
颯太兄とはあれから話さないまま。
教室に来たり、電話も来たけど全部無視した。
「黒瀬颯太」
「はい」
小さめの返事をして、ステージに登る颯太兄を見て、少し笑えた。
中学校生活最後なのに、
やる気なさそうに、返事するなんて場違いだよ。
足元を見た後、またステージに視線を戻す。
…えっ…?
一瞬、颯太兄と目が合ったような気がした。
……なんて、気のせいか…。
どんだけ自惚れてんだ、あたし。
笑える。
あたしは、涙を抑えながら卒業式が早く終わる事を願う。
それと、裏腹にこのまま、終わらないで欲しいと。
時が止まればいいと思っていた。