花には水を



私は、生徒指導室のふかふかとしたソファーに座り目の前にいる先生に向かって笑う。






「私、やってみたい事があるんです」





そう、それは心にやすらぎをくれるもの。






そう、それは私の大切だった人が好きだったもの。






「天文学者です」





父と一緒に見たあの星たちともう一度、向いあいたいと思った。





そしていつも父がやっていたように和らげな目で話をする。








“ キミの事教えて欲しい ”と・・・。





「・・・天文学者・・・ね、確か立花のお父さんがそうじゃなかったか?」





「そうです」





陽気に笑って、そういうと先生は少し顔を歪めた。



そして、ハッとしたようにすぐに笑顔を私に向けた。








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