花には水を
「分かった、でもそれならそれ相応の大学に行くべきだと思う。まぁ、立花なら大丈夫だと思うが気を抜くな」
ぴしっとした口調で言う先生。
その後は星夜兄と私の二人暮らしなため、奨学金で行くという方向で検討すると先生は言った。
また、星夜兄も入れて面談をするらしい。
生徒指導室のドアを閉め、またシューズを擦りながら歩く。
ざわざわとまだ学校に残っている人たちの声が廊下にも響いている。
早いとこ帰ろう。
私は教室に戻り荷物を持って歩き出した。
と、ふと私の脳裏に浮かんだ場所。
そうだった・・・。
早足・・・というよりも、もう走っている。
私はある場所へと、急ぐ。
忘れていた事を思い出したのだ。
雪の降る静かな夜。
心に深い傷を残した、あの日の出来事と一緒に・・。