花には水を



ぶわっと勢い良く私に吹き付ける風は、体をじわじわと冷えさせる。




関節の効きにくくなった手を動かして、私は竹の筒に花を挿した。






雪は舞う。





白い様々な結晶が、私の目の前に落ちてはしゅっと消えていく。





「父さん・・・ごめんね」





今日、命日だった事忘れてた。






本当にごめん・・・それで、私父さんと一緒の道いくことに決めたから。






おめでとうって、言ってよね。






頑張れって、言ってよね。







両親の眠る墓石にそっと手を置く。





凍えた手が感覚を失っているのか、冷たくとも感じない。








< 117 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop