花には水を
母さんが病気で死んだとき、一番悲しんだのは父さんだった。
・・・ううん、私達の前ではそんな素振り見せた事なんてないけど。
私と星夜兄が寝た後、毎日母さんの墓に行ってたの、知ってた。
偶然その夜かたんという音で目が覚めて、私は冷たいひんやりとした廊下を歩いた。
そして、ふと気づく。
父さんがいないことに。
すると、後ろから私を呼ぶ星夜兄の声が聞こえて私は星夜兄のもとへ寄った。
「なに?」
そう訪ねると、聖夜兄は私に少し厚めのジャケットを被せた。
驚いて聖夜兄を見ると、聖夜兄はいつの間にか私服に着替えていて
「よし、尾行だ」
そう言って私の手を引っ張った。