花には水を



制服の袖に手を通し、私はリビングへと向かった。




今日はいつもより遅くなっちゃった。




でも星夜兄は今日休みらしいし、その分のお弁当作らなくていいから楽だな。




キュッと長い髪を後ろで一つに束ね、リビングに入って行く。





と、パチッと目が合ったその人物は昼間のようにきちんと髪を整え、悠々とコーヒーを口にしていた。






私は驚いて言葉が出ず佇んでいると、にこっと笑った星夜兄が言った。





「よ、おはよ」



ジーパンにTシャツを着て机に置いた書類を片手でめくる。





「今日、仕事あったの!?」




「ん、いや無いけど」



おかしい…おかしいよ。




だって、聖夜兄朝ありえないぐらい弱いのに…。




どうしよう、これ外出られないんじゃない?





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