花には水を
「なんか、ごめん」
「うん、もっと謝れ」
むかつく。
「もう謝んないし」
ツンとした顔で目をそらすと、聖夜兄はクスクスと笑ってコーヒーの入ったカップを唇に当てた。
私は面白く無さそうにその様子を見ると、ハッとして顔をあげた。
「やばい、遅刻する」
いつの間にか時計の長針は12を指して、短針は8を指している。
呑気にコーヒー飲んでる人を相手にするんじゃなかった。
私は、バタバタと部屋とリビングを行ったりきたりして準備を終えると、玄関のドアノブを回した。
「じゃあ、行ってくる」
「はいよ、またあとで」
リビングから聞こえてきた声。
私は、太陽の照らす地面を蹴った。