花には水を
「あーあ、俺もそろそろ彼女見つけなきゃなぁー」
最近の瑞穂の口癖。
瑞穂なら簡単に彼女なんて手に入るだろうに…。
…ほら、今の瑞穂の言葉にクラスの女子の目がギラギラに光ってるんだけど。
なーんで気付かないかな、鈍過ぎじゃない?
「てかさ、何でそんなに彼女欲しいの?」
瑞穂の後ろにある自分の席に腰掛け、私は瑞穂に訊ねる。
ん~…と少しの間考えて、瑞穂は私に言った。
「彼女が居たら、俺なんでも頑張れそうな気がするから」
にかっと笑顔を私に向けた瑞穂。
そうだ、いつも彼はこの笑顔を向けて私に言う。
あの時と同じように、心に深く残る言葉を。
そしてその言葉を私は連に変えてみるんだ。
連は私がいるだけで、頑張れる気が起きるのかな?
そうだったら、嬉しい。
私も、連がいるから。
今をまともに生きても良いって思えるのかな。