花には水を
あっという間に時はすぎて、昼休み。
私は急いで生徒指導室へと向かう。
さっきまですっかり忘れてた。
私の頭はどうなってるんだろう…。
最近物忘れ激しすぎ?
ガラッと勢い良く扉を開けると、聖夜兄と先生が向かい合って雑談をしていた。
ふうと胸を撫で下ろす私に反して、聖夜兄は怒った顔をして眉をひそめた。
「いつまで飯を食ってんだ?いくらなんでも、遅過ぎだろう?」
久々に聞く聖夜兄の怒った低い声。
私はホッとした気持ちから一気にシュンとした気持ちになって「ごめんなさい」と呟いた。
父さんが死んでから私の父さん役に聖夜兄はなった。
普段は対して怒らない聖夜兄も、私が悪いことをしたりちゃんとしなかった場合はきちんと叱る。
ずっと沈んだままの私と、怒ったままの聖夜兄の狭間で居心地の悪そうにいる先生がこのもんもんとした空気を変えるべく本題へと突入した。
「…まあ取り敢えず立花は椅子に座りなさい。…えっとお兄さんは立花の夢をお聞きになりましたか?」
「…え、夢…ですか?」