花には水を
やば、何も言ってないや。
これもまた後でおこられるだろうな…。
「え、あ、はい。…もしかしてお聞きになられて…」
「すみません、知りませんでした…。なかなか、自分の事を言わないもので…」
眉を中に寄せると、スッと下へと下げ申し訳なさそうな顔を浮かべた聖夜兄。
…ごめんね。
言わなくて…。
胸に溜まった罪悪感。
それと同時に自分への嫌悪感。
まともに生きようとしてるつもりでも、昔となんら変わってない自分。
いや、変わろうとしていな自分。
「そうですか、彼女の夢は天文学者になることだそうです」
先生のその言葉に聖夜兄は下げていた顔をあげ、まじまじとした顔で見つめていた。
「それは…ほんとうですか?」
「ええ、だよな?立花?」
いきなり話を振られて、焦りながら私は小さく返事をした。
すると、聖夜兄の視線は先生から私へと移った。