花には水を
放課後、私は一人教室に残っていた。
返ってきたメールには“ 教室で待ってて ”と書かれていた。
自分の机に座って、横目で時計を見上げた。
時計の針は、もうとっくに約束した時間を過ぎている。
だけど、連は一向にくる様子はない。
おかしいな…?
そう思った私は静まり返った校舎内を歩き、連のクラスへと足を運ぶ。
カタン…カタン…と階段を上る音が響く。
赤く染まった空が、小さな小窓から廊下を同じ色へと染めている。
と、私は足を止め微かな声を聞くように耳をすませた。
何人かの声が、連のいる教室内から聞こえる。
私は、その声がはっきり聞こえる位置まで、足を進めた。
「てかさ、やばくね?」
「何がだよ」
「あの女、ほら連が彼女にするとか言ってたやつ」