花には水を




放課後、私は一人教室に残っていた。



返ってきたメールには“ 教室で待ってて ”と書かれていた。



自分の机に座って、横目で時計を見上げた。


時計の針は、もうとっくに約束した時間を過ぎている。





だけど、連は一向にくる様子はない。






おかしいな…?




そう思った私は静まり返った校舎内を歩き、連のクラスへと足を運ぶ。



カタン…カタン…と階段を上る音が響く。





赤く染まった空が、小さな小窓から廊下を同じ色へと染めている。





と、私は足を止め微かな声を聞くように耳をすませた。




何人かの声が、連のいる教室内から聞こえる。





私は、その声がはっきり聞こえる位置まで、足を進めた。




「てかさ、やばくね?」




「何がだよ」



「あの女、ほら連が彼女にするとか言ってたやつ」





< 137 / 296 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop