花には水を



私の体がブルブルと震える。




「『興味本位で近づいたら、意外と簡単に落ちてくれた』だってよ」



「まじかよ、連もよくやるなー」




「ほんとだよ」



大きな笑い声がどっと起こり、私はその場にいる事に耐えられなくなった。




まともに立つ事の困難な足で、必死に体を起こす。





そんな私に




「灯…?」




一番出会いたくない彼と出会ってしまった。



突然で顔をあげた私と、彼の視線がぶつかる。




多分彼は私を探していたんだろう。




手には私の鞄と自分の鞄を持っていて、息は荒れている。





彼はこの教室で言われていた会話を知らない。



だからだろう、にこっとした笑みを浮かべて私へと近づいてくる。





私はハッとして、遠ざかるように後へと下がった。






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