花には水を
「ちょ、泣くなよ…」
瑞穂は私を見るとそう言いながらも、しっかりと手を引いて歩いていた。
さっきまでは悲しみだったはずの涙が、今度は嬉しくて流れている。
人の心って…こんなにも温かいんだ。
握られた手が、温もりを帯びていて。
連を好きだと気づいたとき、瑞穂のこの暖かい手から避けてしまった事を思い出して少し申しわけない気持ちになったけど。
瑞穂は何も言わず、ただ私の手をしっかりと握ってくれていた。
それはまるで、心配しなくてもいいよって言ってくれているみたいで。
俺がついてるからって言ってるみたいで。
見つめる私の視線に気づいた瑞穂が、ふっと私の方へと顔を向けた。
少しだけ触れた視線。
私はすぐに、顔を逸した。
そんな私を見て、クスっと笑った瑞穂。
何かがおかしくなる。