花には水を



「着いた」



瑞穂のその声に顔をあげると、私は小さく「え…」と声を漏らした。



目の前にあるのはプラネタリウム。



私の驚いた顔に瑞穂は笑うと、握っていた手を離して私の頭へと置いた。




「元気だせって意味で。灯の好きな場所…だろ?」



その言葉に、また涙が出そうになった。



この町にひとつだけあるプラネタリウム。



そこには一度だけ瑞穂と一緒に来た事があった。



中学校も終わりのとき、瑞穂が私を誘って何処かに行こうと言った。




私自身、あまり外を歩くのは好きでは無かった。



だから身近で、それに父さんと何度か行ったことのあるプラネタリウムに行こうと言った。




瑞穂はそれに「いいな」と微笑んだ。




プラネタリウムで見た星たちは、やはり綺麗で。



目を輝かせながら見つめ、時折「あれはね…」と話し出す私を瑞穂は嫌な顔ひとつせずに、笑って答えてくれていた。




きっと、そんな私を覚えていてくれたんだろう。












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