花には水を
「ありが…とう」
小さな声だったけど、勇気を出していった。
瑞穂は驚いた顔をしたけど、すぐに顔をほころばせて無邪気に微笑んで見せた。
「ほら、入ろう」
その声に促されるように私は足を前へと進め、カラン…と鳴る引戸を開けた。
そこにはいつものようにおじさんが座っている。
煙草を吸うと、すぐにふぅー…と煙草の煙を吐き出した。
「…らっしゃい」
ヒゲを無造作に生やして、髪の毛は短髪。
こうしてみると、結構恐いオーラを纏っている。
だけど、瑞穂はいつもどおりに笑って「二人ですけど、良いですか?」とカウンターへと近寄った。
するとおじさんが急に顔をあげ瑞穂を見た後クルンと私を見て目を大きくした。
「おい、いつの間に彼氏なんか出来たんだ」
このおじさん記憶力ないな…。
てか、彼氏じゃない…。
私が口を開いたと同じに瑞穂は笑って言った。
「彼氏じゃないですよ、こいつの唯一の友達デス」
な!と私をみてそういう。