花には水を
その近さに私は顔を赤くすると、バッと勢い良く顔を逸した。
そんな私をよそに瑞穂はいつもの声で
「どうした?」
と聞いてくる。
平常心、平常心。
大丈夫、あれはただあんなにも近くにあって驚いただけ。
私は、そのままの体制で瑞穂に言った。
「…あ、のさ。プラネタリウムのお金…なんだけど、後でちゃんと払うから」
オドオドとしながらも、私はそれを言い切り一安心した。
「あー、いらないよ」
瑞穂は笑って私に返した。
「え!ダメだよ。ちゃんと、返すから」
「いや、いらないって」
「だめだってば」
瑞穂のその言葉に私が何度も言い返すと瑞穂ははぁとため息をついて私に言った。
「今日は、灯と一緒に星が見たかったっていう俺の我侭だからさ。聞いてくれた御礼って事で。灯は気にしなくていい」