花には水を
「探して、見つけたと思ったら先輩泣いてた。瑞穂先輩の事で、泣いてた。怒ってた。…久しぶりに見て愛おしかったけど、でもそれよりもすげぇ悔しかった。」
「瑞穂先輩の事で怒るなって、泣くなって、俺でいっぱいになってって。身勝手で、傲慢で最低な感情が一気に溢れて気がついたら抱きしめてた。」
うん、たしかに身勝手だね。
傲慢だね。
私は貴方の事で、いっぱい泣いたよ。
いっぱい怒りたくなったし、憎みたくなったよ。
でもね、憎みきれないの。
好きだからだよ。
大好きだからだよ。
もう、ずっとずっと前から連だけなんだよ?
ねぇ、気づいてる?
もうそろそろ、気づいてよ。
「話させて、俺の気持ち。伝えたいから、俺のいろんなこと。」
強かった力も緩まって彼はかなしそうに歪んだ顔で私を見つめた。
「…うん、今まで逃げてごめん。私も、本当の事知りたい」
視線が交わって私は彼の唇が動くのを静かに見つめていた。