花には水を
「勿体ねぇー。あんなにもてたら最高じゃね?女にベタベタ。まじ最高」
「いっとけよ、勝手に」
つか既に疲労。
来てまだ30分もたってねえし。
ため息をついて、寝ようとした俺に「あ」という良樹の声が聞こえた。
「何、どしたの?」
なにやら興奮したように、俺の肩をバンバン叩いている。
そんな良樹をにらみながら顔をむけた。
「やべぇー!俺見たの今日が初めてだ」
だから、何が?
何を?
「二年の立花灯っていう女なんだけどさ!その人と同じ二年の先輩から聞いたんだけど、すげぇ周りに冷たい女なんだって。」
へぇ。
だからってそもまで騒ぐこと?
そんな有名人なの?
「そのひとのあだ名、冷徹女。冷たい表情に冷たい目。そしてバッサリ切り落とすような言葉。それは、心をえぐるらしい」
あー怖や、怖やと首をふると教室に入ってきた生徒に「よっ」と声を掛けた。