花には水を
彼女も読んでいた本から目を離し、瑞穂先輩の方へと向いていた。
ここから見える彼女の横顔。
崩れてない綺麗な横顔。
だけど、やっぱり瑞穂先輩に対しても真面目な顔のまま話をする。
あの二人ってどんな関係?
脳裏に過ぎったのはそんな思いだった。
別に、俺には関係ないのに。
あんなにも、良樹が言うから少しだけ気になったんだ。
「ふう、って連!ちょ、焦らなやばいぜ?後1分くらいだ!」
我に返った良樹が俺に促す。
「ああ」
小さく返事をして、一歩足を踏み出した。
だんだんと先輩たちに近づく。
だんだんと彼女たちの声が聞こえる。
「さっきな、サッカーで俺に話が来たって言われたんだ。」
嬉しそうに彼女にいう瑞穂先輩。
そんな瑞穂先輩をみて、彼女は少し驚いたような顔をしたあとふっと優しそうに笑った。