花には水を
適当に話を聞いて、適当にノートに写す。
淡々とした作業が続けられる。
そんな俺の隣で、またしても良樹は瑞穂先輩について語りだした。
「瑞穂先輩って、どんだけ練習してんのかな?でも、かなり幼い頃からでも有名だったし。」
「素質ってやつか?才能?はあー!追いつけねぇー!」
一人悶々と戦っている。
そんな良樹が怒られたのはいうまでもあるまい。
授業終わり、良樹と教室へ戻っている最中また彼女を見つけた俺。
いや、正確には良樹が見つけたんだけど。
俺らに向かって歩いてくる一人を見て小声で俺に耳打ちをした。
「お前分かる?あの、黒髪の」
そう言われたように目を向けると、悠々と人混みから抜け出してくる立花灯を見つけた。
「顔は結構いけてんだけど、やっぱ性格雰囲気が恐いからなー。近づけねぇーつーか、近づいたら鋭い言葉できられそう。」