花には水を
当時の俺の彼女に対するものは、ちょっとした関心だけだった。
男に対して、怯まずに言い切る彼女はなんか他とは別のように思えて。
それにあんな風に噂されても、堂々としてられる姿が俺には不思議だった。
放課後部活に向かう良樹とわかれ、俺は一人げた箱へと歩いた。
靴を履いて玄関のドアを開けた。
「さみぃ…」
開けたドアから入り込んできた冷たい風は俺の体を簡単に縮こませた。
もうこんな季節か…。
一年てはぇわ。
肩をすくませ、俺は両手をポケットに収めた。
今日は、なんか色んな事考えた日だ。
疲れたように、ため息をついて俺は目線を地面に下げた。