花には水を
つい、口を割って出てきたけど、別に悪いことじゃない。
何も考えなければ、いい。
「じゃあ・・・えっと、あ、右ですね右。こっちの道で」
彼女は指を指す。
「あ…はい!」
戸惑いながらも彼女の横に並んだ。
右の道へと足をすすめる。
無言。
この無言は、なかなか恐い。
少し歩いた先には、二つに分かれた道。
いつも反対方向に帰るからこの辺の地形はわからない。
「・・・えっと、どっちの道に行けばいいッスか?」
俺の問いかけに対して、足を止めると彼女は目を細めた。
「いくつに分かれてます?」
「え、あ二つ」
って…普通に二つじゃん。
見たら分かんのに。
…って、え…。
もしかしてこの人…。