花には水を
休憩時間、良樹は俺の席に近づくと小さく耳打ちをした。
「俺らの会話が聞かれてたのかも知れない。気にしすぎるな…と言いたいけど、今は気にしといた方がいい。平然としているよりも、気にしていると思わせたほうがいいと思う」
「…ああ」
顔を伏せたまま、情けない声で返事をする。
「俺も、誰が流したのか情報探すから。なんつっても俺は学校のタウンページのようなものだからな」
笑っているけど、どこかいつものような雰囲気ではない。
俺に気を使ったような言葉。
もう、どう対応すればいいのか分からないけど。
こんなんじゃダメだって事は分かってる。
俺がしっかりしないとダメなんだ。
良樹じゃない、俺が片付けなきゃならない事なんだ。
ふうと深呼吸をして、自分に言い聞かせるように何度もくり返す。