花には水を




教室を出れば、いろんな奴に声を掛けられて噂の事でからかうように言われた。




違う、そうじゃない。


俺は本気で彼女を愛しているんだ。




そう言っても分かってくれるのは、ごく一部の少数だけ。




何度言っても、嘘だ。ありえないという奴もいれば、真面目な顔でいう俺に引いたような反応をして遠ざかるものもいる。





広まり続ける噂。



でも、それは一年の間だけのように思えるのは、二年・三年は俺の方を見る事はないし。





そんな話をしている様子もない。




このまま、噂が一年の間だけで風化していってくれてると良いんだけどな…。





俺のせいで灯に嫌な思いをさせたくない。



悲しませたくない。





そうやって思ってたけど、でも結局は自分のためだったのかもしれない…。





…ただ、果てしなく怖かった。



灯が俺のとこから離れていくのが。



俺と灯の関係が途切れて、嫌われてしまわないか。


それだけで、いっぱいだったんだと思う。





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