花には水を
いつの間にか寝ていた俺の瞼が開いたのと同じように、インターホンがなった。
母さんはいないのか?
もう一度なった音に俺はめんどくさい気持ちを含みながらも立ち上がると玄関へと向かう。
「はい…」
扉を開けて驚く。
言葉を失ったまま固まる俺に反して、真面目な顔をして佇むその人。
何故?
どうしてこの人が家にくるんだ…?
「木立連くんだよね?」
「はぁ…そうですけど…」
突然俺の名前を言ったその人に俺は小さく返事をする。
「灯なんだけど…」
「…灯が、どうかしたんすか?」
灯、その名前がでるだけで過敏に反応してしまう自分が恨めしい。