花には水を
瑞穂先輩に教えてもらった灯のいる病室に駆け込む。
「灯!」
勢いのまま叫んだ俺。
そんな俺を驚いた顔で見た男の人は少し怪しげに小首を傾げながら、「どちら様でしょうか?」と尋ねてきた。
やばい…人がいるとは予想なかったけど、普通…いるよな。
本当に俺いま超怪しい男じゃないか、これ。
なんてゆえば…。
えっと…と言葉を濁したあと、俺の頭に浮かんだ嫌な考え。
この人…誰だ…?
下げていた目線をあげて、もう一度よくみたその人の顔は凄いカッコイイ。
芸能人って本気で考えるくらい。
まさか…?
本当の彼氏?
「あの?」
廻る嫌な思いを遮るようにさっきよりも眉を寄せたその人は灯のベッドの横にある椅子から立ち上げって俺の方に歩いてきた。