花には水を



「灯の友達かなにかかな?灯は今寝てんだけど…どうする?」




やっぱり…灯って呼んでるし。



でもじゃあ俺って何だったんだ?




灯にとって俺って…。




「あーのー?」



少し腰を屈めて俯いていた俺の顔をのぞきこんでくる。



その行動に驚いて「うわ!」と声をあげてしまった。




「あ、悪い。聞いてんのかなぁって思って。俺別にそういう感じの趣味ないから安心して」



何…この人…本当に灯の彼氏か!?


…って言えば俺もか…。




「つか、本当にどちらさま?灯の見舞いに来た子じゃないの?」




ふうとため息をつかれて、俺はハッとしてもう一度「灯!」と叫んでしまった。




「いちいち叫ぶなって。大分よくなって今寝てるよ。」





「あ…そうですか」



良かった…マジで良かった。


この人の事どうこう言ってる暇なんてなかった。


灯が無事で…マジで良かった…。



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