花には水を
「本当に聞いてなかったんだね…。えーっと?何くん?」
悲しげに呟いた後に、にこっと笑って訪ねてくる。
「あっと、木立連っていいます」
灯の多分まだ彼氏の…。
「木立くんね、俺は灯の兄です。灯と仲良くしてくれてありがとう」
綺麗な笑みがどことなく灯に見えた瞬間だった。
俺の脳内に入ってきた言葉は驚く程単純なこたえだった。
灯の兄です
俺って、どれだけ不安なんだよ…
よくみたら灯に似てるじゃん。
笑ったときとかそっくり…。
自分に呆れつつもほっとした心。
良かった、彼氏とかじゃなくて…。
男のくせにそんなところを心配してしまうのは情けないけど。
不安なものは不安なんだよ。