花には水を
「起きるの待つ?」
灯の兄さんがもうひとつ別のパイプ椅子を取り出しながら俺をみる。
「あ、…いえ今日は帰ります」
もしこのまま居て灯が起きたときに、俺は…どんな顔をして会えば良いのだろう。
灯は俺を見てどんな顔をするだろう。
今はまだ…面と向かって会える自信がない。
倒れたって聞いた時は、考える事なんて置いてきたけれど。
今になって追いついてきた。
どうしようもいえない罪悪。
聖夜さんは手にしていた椅子を戻すともう一度椅子に座った。
「木立くん」
とっさに呼ばれた名前に聖夜さんへと目を向ける。
「灯を大事にしてやって」
「へ…?」
微笑んでいるのに伏せた睫毛の隙間から覗く瞳から見える眼差しは強く。