花には水を
「何が言いたいの?」
冷たくそういうとM子は腕組みをして真剣な顔をして言った。
「あんたのファン」
「何するか分からないよ。…木立連くんが傷つく事になると思う」
は?
連が言ってた、やつらが…また?
また連になにかしようとしてるって事?
「なんでそんなこと…」
「あんたって鈍いのね。」
ふっと鼻で笑うM子。
そんな憎たらしい事もどうでもよくなるくらい、今の私には余裕はなかった。
「なんであなたが?」
M子は何故知ってるのよ。
問いかけた私に眉をひそめて、大きなため息をついた。
「ほんとに何も知らないのね。あなたのために瑞穂くんがどれだけ頑張ってるのか」
あざ笑う笑みもなくなり、呆れたといった顔をする。
突然の瑞穂の名前に、え?と漏らした言葉に苛々したようにM子が声を荒げた。
「瑞穂くんあなたが何もされないように、あなたのファンについてずっと探してるのよ!サッカーだってそのための進路だってあるのに…。あんたはそれに気づかなかったの?」
ためいきと共に表情を険しくする。
何を言ってるんだろう。
そう思ったけど、私はそこで気づかされた。
最近瑞穂の顔色がよくない事。
サッカーでのミスが多くなっていると誰かが話していた事。
彼の重荷になっているのは、私。
彼の幸せを奪おうとしているのが、私だということを。