花には水を
気づくと外は日が落ち始めていて、赤い夕日が室内を染めていた。
とりあえず、教室に帰って荷物をとってこなくちゃ。
力の入らない足を必死に立たせて引きずりながら歩く足はふるえてた。
別れるなんて嫌だ。
だけど、それ以外に連を傷つけない方法はみつからない。
瑞穂がサッカーに専念できるようにしたい。
その為には前の自分に戻らなくちゃいけない。
答えがみつからない。
それは私の貪欲さのせいだ。
教室のドアを開けた私の目の前には頭を抱えて、やつれた顔をした連がいた。
ドアの開く音にひどく体を揺らせ顔をあげた連に、心臓がきしっと鳴った。
「…あ、かり…?」
瞳を大きくして、私の元に駆け寄った蓮に抱きしめられる。
「…ごめん、連」
また、心配させた。
「どうにかなりそうだった…。あかりがあいつらに連れて行かれたのかと思って。」
疲れた声色。
連は抱きしめる腕に力を強めた。