花には水を
一直線に私を見つめる、黒い瞳。
本当に・・・本当に、吸い込まれそうな大きな瞳。
彼と目が合ったとき、ふっと彼の口元が上へと上がったように見えた。
「先輩」
急に聞こえた声に、びくりと肩を震わせる。
なんだろう。
今の私、なんだかいつもと違う。
心が弱ってるのかな・・。
彼は私に一歩近づいて顔をのぞきこむようにして視線を合わせる。
「・・・先輩?」
彼の息がかかる。
ふわっと香る、シトラスの匂い。
甘い声。