花には水を
ぼうっと木立連を見つめていると、彼が急に目の前にメニュー表をつきだしてきた。
びくっと肩を震わせると、くくっと喉を鳴らして笑っている木立連。
「・・何?」
「いえ、俺に見とれてんのはいいんすけど、せっかく来たんだしなんか頼みましょうよ」
クスっと微笑んで、私を見つめる。
私は、大きく目を開いて眉を内側に寄せた。
「見とれてなんかない、帰る」
バッと鞄を手に取ると椅子から立ち上がった。
と、手首を掴まれ軽々とソファーに座らされた。
また黒い瞳が私を捉える。
「さっきから言ってるじゃないッスか、キスするよ?せーんぱい」
口元を上げて、微笑んでるつもりなのか。
目が一つも笑っていなくて、逆に怖い。