花には水を
「知らない、もうほっといて」
首に巻かれたあったかなマフラーを解く。
だんだんと首元から離れていくマフラーに寂しさと、切なさを覚えながら私は突き返すように木立の前に持ってきた。
木立連の顔が徐々に睨みつけるような表情へと変わっていく。
「・・・先輩、ちゃんとまいとかないと風邪・・・引きますよ?」
急に顔を伏せ、木立は低い声で私に言う。
ああ、怒ってるんだ。
そうわかるような声。
私がここでいらないと言ったら、きっと彼は眉毛を寄せて怒るだろう。
せっかく、親切にしてやったのにと。
そして、彼は言うんだ。
遊んでやっただけだって。
ただ、興味本位で近づいただけだって。
そういわれるのは目に見えて分かる。
だったらもう、これ以上彼に近付きたくない。
木立連という存在を大きくしていきたくない。