花には水を
私はゴクリと喉をならせて、木立連を見据えていう。
「いらない、だからもう私に関わらないで」
消えるような・・・でもはっきりとした口調で・・。
じくじくと痛む胸の奥。
木立連は下げていた顔をあげた。
お願いだから、そんな切なそうな表情で私を見ないで。
黒い大きな瞳を動かして、私を捉えないで。
顔をふせて、キュッと縮まる心臓を感じながら私は押し付けるようにマフラーを渡し逃げるように走った。
馬鹿みたい。
私には合わないの。
恋なんて、単語。
そんな綺麗な優しい単語。
荒れた土地のようにひび割れた私には一生出会うことのできない淡いピンクの花。
苦しい胸を抑えて私はただ走った。
木立連という大きな存在から・・・。