花には水を
本当は少し、期待をしていたんだと思う。
彼が私を気にかけてくれてるんじゃないかって。
馬鹿みたいに、自惚れてた。
私は自分の拳を強く握った。
「・・・早く、教室行こう」
突然の私のその声に、瑞穂は驚いたように返事をした。
そんな瑞穂の青い制服の袖を掴んで、教室へ向かう廊下をあるきだした。
廊下の壁にもたれる木立連の前を通り過ぎる。
木立連を意識しないようにするけど、でも気になってしまう。
私は横目でずっと木立連をみていた。
だけど彼は、一度も私を見る事は無かった。
伏せたままの彼の睫毛は上がらず、彼の口元も同じように笑っている。