花には水を
「xとyのこの式を公式に当てはめて・・・・」
数学の時間、もう3時間目だというのに私の頭は昨日から抜けたまま。
数式なんて頭に入らない。
もう、誰の声も耳に入らない。
こんなんじゃだめって分かってるけど。
私らしくない。
今までの私とはまるで違う自分みたいになってる。
「・・・灯」
ふと、突然入ってきた声に私は顔をあげた。
目の前には瑞穂の少し小さめな背中。
そこから目線をずらした先に、白い折りたたんである紙が私の机に置いてあった。