彼女は俺にゾッコンです
いや、本当はわかっているのかもしれない。
唇を重ねながらも俺が考えているのは椙本先輩の事。
見ているのは人ごみの中に消えて行く小さな背中。
「そーちゃん」
唇を離してレイラが俺をまっすぐ見つめる。
慌てて見つめ返す。
「行けばいいじゃん」
「え!?」
レイラは無表情だった。
「そーちゃん、日本に来て変わった。キスもそーちゃんからしてくれないし」
レイラは日本語ではなく英語で俺に言った。
考えてみればレイラからキスされたのは初めてだった。