彼女は俺にゾッコンです
「あの子の所に行けばいいじゃん」
レイラの涙を見ても言葉が見つからない。
「今のそーちゃんは抜け殻だよ…」
「・・・レイラ」
「私ね、アメリカでボーイフレンドの候補が沢山居るの。だから私は大丈夫。・・・あの子の所に行って?」
大丈夫なわけがない。
気持ちに余裕が無いから英語で話し続けるんだ。
レイラは涙を拭いて、こんな俺に笑顔を見せてくれる。
いっそ殴ってくれ・・・。
俺は最後まで優しいレイラに心から感謝した。
「ごめんレイラ。俺…行くわ。今までありがと」
俺は椙本先輩が消えて行った人ごみへ駆け出した。
人の林をいくら掻き分けても椙本先輩の背中は見当たらない。