彼女は俺にゾッコンです


グス・・・グスン・・・ひっく・・・


何処からかすすり泣く声が聞こえる。


こんな所で俺の地獄耳が役に立つ。


警察犬が鼻をヒクヒクさせ麻薬の在り処を探す様に、俺は耳を澄ませ椙本先輩の居場所を探した。


そしてビルとビルの隙間で泣き崩れている椙本先輩を見つけた。


「椙本先輩!」


俺の声に顔を上げる。


「・・・根本?」


椙本先輩の顔は涙でぐちゃぐちゃだった。


「みんな見てますよ?」


ハンカチを差し出す。


椙本先輩は奪い取る様にハンカチを俺の手から取った。


「何でここに居るの!!」


ハンカチを目に押し当てヒステリックに言う。


「金髪の子の所に行きなよ!彼女なんでしょ!?」


「俺は椙本先輩の傍に居たいんです」


ハンカチで目を隠している椙本先輩の顔を俺は真剣な目で見つめる。


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