ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~
「ずいぶん話が弾んでいたようだが、何の話をしてたんだい?」

お父さんは、いつもの定位置に座るとすぐにみんなを見渡してそう言った。

慎司さんと私も座ると、「それがね…」とお母さんが嬉しそうな顔をした。

「健一、ちゃんと自分でお父さんに言いなさい」

「あ、ああ。来年、千恵が大学を出たら結婚しようと思うんだ。いいかな?」

「ほお。こっちは構わんが、向こうはどうなんだ? プロポーズはしたのか?」

「それはまだだけど…」

『えっ?』

お母さんとハモっちゃった。

「じゃあ、お兄ちゃんの勝手な思い込み?」

「勝手な、って…。千恵もきっとそのつもりだと思う」

「それを思い込みと言うんだ。ちゃんと先方の意思を確認しなさい。話はそれからだな」

「分かったよ…」

お兄ちゃんがしょげて俯くと、お父さんとお母さんの視線が私に向いた。

その目は明らかに、『あなた達はどうなの?』と言っていた。
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