ツンデレ美女の恋愛事情~新・素敵すぎる上司~
さすがにもう気付かない振りは不自然だと思うし、鈴木さんの手が徐々に上に上がってきたので、私はその手を無言でぎゅっと押さえた。

無言なのは、阿部さんに気付かれたくなかったからだ。

ところが鈴木さんは止めてくれず、私が固く閉じた腿の間に手を差し込んできた。

その時、稲光とともに、あの時の悪夢が蘇った。



その後の事は、覚えていなかった。

気が付けば、私は小料理屋さんの玄関の隅にうずくまっていた。

ゆっくり立ち上がると、傍で「落ち着いたか?」という声が聞こえた。

「阿部さん、私……」

「無理にしゃべるな。帰ろう?」

「あ、でも、鈴木さんにご挨拶を…」

「奴はとっくに帰ったよ」

「帰った…?」
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