愛しきキミヘ

「子供だけは産もうと思ったの。
あんな男の血だとしても、命を簡単には消せないから。
だけどね…ダメになったの。
別れたストレスとか、慰謝料問題とか解決してたらいつの間にか……
大切にしてたつもりだったのに…」


希美が必死に涙をこらえているのがわかる。

「もういいから。
もういい。」

俺はただ寄り添うしかなかった。


「だからね、健太くんの彼女見たときにあの女と被ったの。
ぶりっ子して、本当は他の人より何倍も神経図太いくせに…
見ててものすっごくムカついちゃって。」